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松井市長に初の要請 核禁条約署名「平和宣言で求めて」 被爆者6団体

 二つの広島県被団協など県内の被爆者6団体は4日、今年の8月6日の平和宣言で、日本を含む世界各国の政府・政治指導者に対して核兵器禁止条約の署名・批准を明確に求めるよう松井一実市長に要請する文書を市に提出した。宣言で日本政府に署名・批准を直接的に求めることに消極的な松井市長に方針転換を促すため、初めて実施した。

 6団体は禁止条約の署名・批准を迫る署名集めなどを進める二つの県被団協、韓国原爆被害者対策特別委員会、県朝鮮人被爆者協議会、県労働組合会議被爆者団体連絡協議会、広島被爆者団体連絡会議。要請書は「被爆者の願いである核兵器廃絶を前進させるため」などとして、平和宣言で禁止条約の署名・批准を明確に訴えるよう求めている。

 6団体の代表者が4日、広島国際会議場(中区)を訪れ、市国際平和推進部の津村浩部長に要請書を提出した。県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之理事長代行(77)は「宣言ではっきり述べられないならば、(禁止条約の署名・批准に背を向ける)安倍首相と松井市長の考えが重なってみえる。被爆者としてそれは嫌だ」と述べた。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(74)は「被爆者が何を望んでいるのかを市長はよく知っていると思う。それをそのまま宣言の中で言ってほしい」と訴えた。津村部長は「6団体の総意として受け止め、市長に伝える」と述べた。

 平和宣言を巡っては、市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)など23団体も6月28日、市に対して日本政府に条約の署名・批准を明確に求めるよう要望している。松井市長は昨年の宣言で「核兵器禁止条約を核兵器のない世界への一里塚とするための取組を」と述べた一方、政府に禁止条約の署名・批准を直接的に求める言葉はなかった。(水川恭輔)

(2019年7月5日朝刊掲載)

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