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旧中島地区 被爆遺構を公開 平和公園の発掘現場で説明会

広島市、東に調査拡大へ

 広島市は7日、平和記念公園(広島市中区)の原爆資料館東館北側で進めている、旧中島地区の被爆遺構の発掘現場を公開する現地説明会を開き、約250人が参加した。市は同日、調査範囲を東側へ広げる方針を有識者懇談会に示し、承認された。

 フェンスに囲まれた資料館東館北側の発掘現場を初めて開放。被爆前は商店や民家が立ち並んでいた「旧天神町筋」の西側約25平方メートルの範囲で、地下約60~90センチまで掘り進めている。

 この日は、市の委託を受けて調査している市文化財団の職員が、5月に始めてから出土した木造家屋の座敷や土壁の跡とみられる遺構を解説した。参加者は、畳や床板が焼け落ちて炭化したとみられるイ草や板材の焼け跡のほか、倒壊した壁土などが熱で赤茶色になった焼土層に見入った。

 被爆瓦などの出土品の展示もあった。インドから家族で広島市内に帰省中の小学6年中原璃子さん(12)は「今も日常で使われる畳などの焼け跡から、当時の生活と多くの人が亡くなった原爆の被害が想像できる」と話していた。

 被爆遺構について市は、2020年度までに常設的な展示、公開をする計画。この日はまた、遺構の展示整備について被爆者や有識者から意見を聴く懇談会も現地で開催。市が今の調査範囲の東側約25平方メートルをさらに掘り進めることを提案し、承認された。既に見つかっている木造家屋跡と旧天神町筋との境などを調べるためで、通りに家屋が立ち並んでいた被爆前の街の姿の展示を目指す。

 委員からは、出土品のうち炭化したわらや木材の劣化が進んでいるとして、保存対策の検討を急ぐよう求める意見も出た。市は8月6日の平和記念式典に向けていったん埋め戻し、式典後に調査を再開する。(水川恭輔)

(2019年7月8日朝刊掲載)

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