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広島で被爆樹木の調べ 13日 パンフルート奏者岩田さん

 廿日市市のパンフルート奏者岩田英憲さんが、被爆樹木で作った笛を13日に広島市中区の県民文化センターで開くコンサートで演奏する。「樹木が記憶する原爆の恐ろしさを、音色に乗せて表現したい」と話す。

 爆心地から約1・7キロの千田小(中区)の校庭で被爆し、2014年に枯死したカイヅカイブキでできている。幹の一部を譲り受けてパンフルート制作者の香原良彦さん(安芸区)に託し、3月に完成した。

 岩田さんは、オーストリア・ウイーン国立音楽大を卒業後、NHK「新日本探訪」などのテレビ番組や映画のテーマ曲も担当したパンフルート演奏の第一人者。被爆樹木がテーマのオリジナル曲をソロ演奏するほか、ピアノとシンセサイザーの奏者にソプラノ歌手が加わり、カッチーニ「アヴェ・マリア」なども披露する。

 広島に原爆が投下された時、岩田さんは4歳だった。その3日前に爆心地近くの榎町(現広島市中区)から郊外に疎開し被爆を免れた。「大きな音に驚き、母が私と妹を腕の中で守ってくれた」。疎開を勧めてくれた伯母は被爆死した。自身の音楽表現を通してヒロシマを伝えよう、とコンサートを企画した。

 午後2時開演。全席自由で2500円。実行委の新谷さん☎080(1908)4423。(新山京子)

(2019年7月8日朝刊掲載)

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