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解散胸に来月追悼式 向原の被爆者の会 活動来年まで

会員減少 平和願う機会に

 安芸高田市の向原町原爆被害者友の会が8月3日、同町の丸山公園にある慰霊碑前で追悼式を営む。同会は、会員の減少や高齢化を理由に来年8月に解散することを2年前に決めている。負傷して町に列車で運ばれて来るなどして亡くなった犠牲者を悼む式は来年が最後。玉川祐光会長(86)は「向原にも原爆の惨禍があったことを知ってほしい」と参列を広く呼び掛けている。(和泉恵太)

 式は、2011年に就任した玉川会長の発案で始めた。原爆投下後、広島市内から芸備線で向原町に運ばれて来て亡くなった負傷者や、同市内で被爆して死亡した住民を悼む。午前8時開始で、黙とうや献花に続いて被爆者の会員が自らの体験を語る。

 追悼式は原爆の日の数日前に開き、多い年は約20人が集まったが、近年は10人程度。町内の被爆者でつくる同会の会員が近年、亡くなったり、施設に入ったりして減少している影響もある。昨年は町内の世帯に折り込み広告で周知したが効果は乏しく、参列者は9人だった。

 同会の会員は3月末時点で124人。5年で約100人減り、うち運営を担う会員は10人に満たないという。13年に活動の柱としていた親善旅行をやめるなど継続が難しくなり17年3月、原爆投下から75年となる20年8月6日に解散することを決めた。同会が解散すれば、安芸高田市内の被爆者団体は高宮原爆被爆者の会だけとなる。

 広島二中(現観音高)1年時に広島駅前で被爆した玉川会長は「戦争を知らない世代がほとんどになった。式を、平和への願いを新たにする機会にしたい」と話す。玉川会長☎0826(46)4214。

(2019年7月9日朝刊掲載)

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