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社説・コラム

『ひと・とき』 メキシコ在住の美術作家 矢作隆一さん

平和願う折り鶴 世界で

 「平和のシンボル、折り鶴が世界中から届く特別な場所」。平和記念公園(広島市中区)にある原爆の子の像を訪れ、昨年8月6日付の中国新聞などで折られた千羽鶴をささげた。折り鶴は、大阪とハバナ(キューバ)で自ら開いたワークショップに参加した子どもらが作った。

 メキシコのベラクルス州立大准教授。2011年の東日本大震災をきっかけに、原発や原爆の問題に関心を持つようになった。折り鶴のワークショップはメキシコを中心に17年から始め、原爆被害も伝えている。「8月6日の新聞なので、広島のことを知らない子どもも興味を持つ。周辺の国々にも広げていきたい」

 近年の自身の創作は平和への強いメッセージを帯びる。メキシコの子どもたち約5千人から集めた折り鶴で制作したインスタレーションも。今回の来日では東京と京都を会場に、福島や広島をテーマにした作品を展示した。「子どもたちが平和に暮らすとはどういうことか。アートを通じて考えるきっかけができれば」と意欲を語る。(森岡恭子)

(2019年7月10日朝刊掲載)

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