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「原爆の絵」 東京で展示 広島・基町高生作 19日から 「黒い雨」継承委が主催

 基町高(広島市中区)の生徒が描いた「原爆の絵」のパネル展を19日から、井伏鱒二の小説「黒い雨」を通じて平和の大切さを伝えている広島県神石高原町の重松文宏さん(83)たちが東京で開く。被爆者の証言を聞き、油絵に仕上げた生徒の取り組みと被爆者に聞き取りして小説を書いた井伏の思いを重ね合わせ、企画した。

 「原爆の絵」の制作は2007年度から続く取り組みで、卒業生たちが描いた絵のパネル約25点を展示する。亡くなった赤ちゃんを背負う母や、川に浮かぶ遺体を描いた作品が並ぶ。

 卒業生で東京芸術大大学院生の富田葵天(そら)さん(24)=茨城県取手市=が、基町高卒業後、被爆者に再度話を聞いて描いた油絵も展示する。24日午後2時から重松さんとトークショーをする富田さんは、「想像を絶する出来事を描く苦労などを話したい。展示で同じような活動が広まるとうれしい」と話した。

 重松さんたちが17年につくった「黒い雨」の継承プロジェクト実行委員会が主催する。重松さんは「黒い雨」の主人公のモデルの故重松静馬氏のめいの夫。同町で黒い雨の舞台の地を案内するなど、井伏と重松氏の平和への思いを語り継いでいる。

 重松さんは「井伏は被爆者に話を聞き、事実に勝るものはないとして記録的な手法で小説を書いた。平和について深く考察してほしい」と話す。

 会場は中央区銀座のギャラリー・アートグラフ。25日まで。午前10時~午後6時。500円。小学生以下無料。(高本友子)

(2019年7月11日朝刊掲載)

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