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被爆証言 43人の胸に響く 歌・ダンスの団体「ヤングアメリカンズ」広島訪問

 世界各国で歌とダンスのワークショップを運営する米国の非営利団体「ヤングアメリカンズ(YA)」のメンバー43人が、広島市内で公演した機会に平和記念公園(中区)などを訪れ被爆者の笠岡貞江さん(86)=西区=から証言を聞いた。

 原爆で両親を失った笠岡さんは、全身やけどで真っ黒に焦げた父の姿を基町高(中区)の生徒が描いた「原爆の絵」をスクリーンに映しながら、「死にたくて死んだ人は一人もおらん。父にもまだやりたいことがいっぱいあった」と語った。多くの命と、夢や希望を奪う戦争の非道さを訴えた。

 YAのメンバーは10、20歳代が中心。メキシコ出身でカリフォルニア州に住むジョシュ・フローレス・ハコボさん(22)は「原爆投下を遠い国の話のように思っていたが、笠岡さんを通して、生身の人間に起こったことだと実感した。愛の大切さを訴える姿勢に胸を打たれた」と話していた。

 笠岡さんに証言を依頼したのは、若者たちの受け入れを手伝う池上ジャッキーさん(50)=西区。「いろんな国から広島に集う若者に、戦争を憎み、平和を願う気持ちを養ってもらいたかった」と言う。YAの広島公演は10年連続。一行は原爆資料館の見学や碑巡りもした。(桑島美帆)

(2019年7月15日朝刊掲載)

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