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「関心ある」6割止まり 参院選 本社県内世論調査

 21日投開票の参院選について中国新聞社が実施した広島県内の電話世論調査で、参院選に「関心がある」と回答した人は66・1%だった。2016年の前回選の同じ時期と比べて5・7ポイント下がり、若い世代の関心の低さが目立つ。憲法9条の改正では反対姿勢が過半数となり、賛成姿勢を上回る。核兵器廃絶に向けた日本政府の取り組みは評価が分かれた。最も関心のある争点は「年金や医療など社会保障」がトップとなった。(村田拓也、樋口浩二、中川雅晴)

■関心度

18・19歳は半数割る

 参院選に「大いに関心がある」は14・8%、「ある程度関心がある」が51・3%で、関心がある層は合計で66・1%を占めた。同じ時期に71・8%だった前回選は、広島選挙区(改選数2)の投票率が過去2番目に低い49・58%にとどまった。3回連続で下がった投票率が今回、上昇に転じるかどうかが注目となる。

 関心がある層を支持政党層別でみると、立憲民主党86・6%▽社民党85・2%▽国民民主党72・5%▽公明党72・3%▽自民党70・8%▽共産党57・0%▽日本維新の会53・4%―の順だった。「支持する政党はない」とした無党派層では57・2%にとどまった。

 年代別は、70代以上が75・3%で最も高い。60代が75・2%で続き、50代が67・5%、20代が60・5%、30代が59・4%、40代が56・6%となった。

 改正公選法の施行で前回選から新たに有権者に加わった18歳・19歳は49・3%で、半数を割った。各自治体の選管や教育委員会は若者の関心を高めるための取り組みに力を入れるが、奏功しているとは言い難い。

 関心がない層の内訳は、「まったく関心がない」が5・4%、「あまり関心がない」が28・1%。男女別でみると、関心がない層は男性28・6%、女性37・9%だった。関心がある層では男性が71・1%と、女性の61・6%を上回った。

■憲法9条改正

反対 10代が最多

 戦争放棄と戦力の不保持をうたう憲法9条の改正は反対姿勢が50・6%と過半数となり、賛成姿勢の32・7%を上回る。被爆地の広島では9条の堅持を求める声が根強いとうかがえる。

 反対姿勢は「反対」が31・2%、「どちらかといえば反対」が19・4%。賛成姿勢は「賛成」が15・6%、「どちらかといえば賛成」が17・1%だった。

 反対姿勢を年代別でみると、18歳・19歳が72・5%で最も高い。30代が60・0%、60代が51・1%と続く。続いて40代が48・2%、20代が46・7%、50代が45・8%、70代以上が45・4%の順だった。

 支持政党層別でみると、9条に自衛隊の存在を明記するなどと主張する自民党は51・4%が賛成姿勢で、反対姿勢の36・8%を上回った。連立を組む公明党は反対姿勢が61・2%に上り、賛成姿勢の27・2%を大きく上回った。与党の支持層でも見解が異なる実態が浮き彫りとなった。

 安倍政権下での憲法改正に反対する野党では反対姿勢が多い。共産党が84・1%で最も多く、立憲民主党74・8%、国民民主党70・0%、社民党62・7%となった。日本維新の会は賛成姿勢が55・2%、反対姿勢が28・8%だった。

 男女別でみると、反対姿勢は女性が53・2%で、男性の47・8%を上回る。賛成姿勢は女性24・3%、男性41・8%。女性の方が9条改正に慎重な傾向にあると鮮明に示された。

■核兵器廃絶

分かれる評価姿勢

 米国とロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約は8月2日に失効する見通しとなり、米国が核爆発を伴わない臨界前核実験を続けるなど、国際情勢は核兵器廃絶に逆行した状態となっている。核兵器廃絶を掲げる日本政府の取り組みについて、評価する姿勢は46・7%、評価しない姿勢は39・4%と分かれた。

 評価する姿勢は「評価する」が17・8%、「どちらかといえば評価する」が28・9%。評価する姿勢は男性が47・6%で、女性の45・7%をやや上回る。

 支持政党層別でみると、自民党59・0%、公明党61・6%で、与党が比較的高い。立憲民主党36・5%、共産党14・7%、社民党27・6%と野党が全般的に低くなる中で、国民民主党は67・9%に達した。無党派層は36・1%だった。

 評価しない姿勢は「評価しない」20・9%、「どちらかといえば評価しない」18・5%。評価しない姿勢の男女別は男性41・5%、女性37・6%だった。

 支持政党層別でみると、自民党30・9%、立憲民主党59・6%、共産党78・3%など、評価する姿勢とは逆の傾向となる。無党派層は55・2%と、全体を15・8ポイント上回った。

 日本政府は国連で採択された核兵器禁止条約について、署名・批准しない方針を示している。広島市の松井一実市長はことしの原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言に、「被爆者の思い」として政府に条約の署名・批准を求める内容の文言を盛り込む方針で、政府の対応が問われている。

■争点

「年金や医療」 高い注目

 今回の参院選は公示前、老後に2千万円の蓄えが必要と試算した金融庁審議会の報告書の受け取りを政府が拒否する事態となり、年金問題が大きくクローズアップされた。争点として考えられる八つの政策課題を示し、最も関心のあるテーマを一つだけ選んでもらったところ、「年金や医療など社会保障」が31・2%とほかを大きく引き離した。

 支持政党層別では、国民民主党46・4%、立憲民主党43・4%、社民党42・2%の順に高い。無党派層は34・0%だった。年代別は20代が39・4%で最も高く、将来の年金給付への不安の高さがうかがえる。70代以上が34・8%、60代が34・5%で続いた。

 争点で2番目に高いのは「消費税などの税制」で19・7%。10月に消費税率の10%への引き上げを控え、与野党の論戦で大きなテーマとなっているのを反映した。職業別でみると、学生の割合が高い。3番目は「経済政策」の16・1%で、自民党支持層で比較的高くなった。

 安倍晋三首相が目指す「憲法改正」は7・0%で4番目。支持政党層別は安倍政権下の改憲に前向きな日本維新の会で15・4%、改憲に反対する共産党で14・7%とやや高い。自民党は7・7%で、公明党は4・2%にとどまった。

 続いて「子育てや教育問題」6・4%、「基地問題を含めた外交・安全保障」4・9%、「原発再稼働などエネルギー政策」3・6%、「地方分権や行政改革」1・2%の順だった。

 【注】グラフはいずれも小数第2位を四捨五入したため、合計が100%にならない場合がある。

(2019年7月18日朝刊掲載)

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