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原子力政策めぐり議論 広島で低炭素国際シンポ

 二酸化炭素(CO2)の排出抑制の観点から、原子力発電の在り方を考える国際シンポジウムが25日、広島市中区の広島国際会議場であった。低炭素社会の実現に向け、国から研究補助金を受けている広島大が主催。福島第1原発事故で原子力政策が揺れる中、科学者や政府が果たすべき役割を議論した。

 5人のパネル討議で、原発に疑問を唱えたのは広島大特任教授の秋葉忠利前広島市長。「将来世代に大量の放射性廃棄物を託し、裕福な生活を送ることは倫理的に正しいのか」と述べた。

 東京大大学院原子力国際専攻長の笠原直人教授は「原発事故の原因を分析し次世代や他国に知識を引き継ぐべきだ」。韓国開発研究院の丁太傭(ジョンテヨン)教授は再生可能エネルギーの有効性を説き、フランスの高等教育機関エコール・ポリテクニークのウディ・エプシュタイン客員教授は原発に対する国民的議論を求めた。

 広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)の神谷研二所長は、自らが関わる福島県民の健康管理調査について「被爆地広島の知見を生かしたい」と話した。

 広島大は2008年度から人材育成プログラム「低炭素社会を設計する国際環境リーダー育成」を進める。シンポには研究者たち約90人が参加した。(山本乃輔)

(2013年3月26日朝刊掲載)

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