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コスト削減強化 苅田中電社長 値上げ回避を強調 13年度 原発計画「未定」

 2013年度の電力供給計画で、今後の原発計画の時期を全て「未定」とした中国電力。苅田知英社長は28日あった本社での会見で、13年度の収支は円安による燃料費増などで「さらに厳しい状況が考えられる」と説明。コスト削減額を、12年度の200億円から13年度は560億円に引き上げる考えを示した。(山瀬隆弘、新山創)

 島根原発(松江市)が全停止した12年度、中電は過去最大の純損失280億円を見込む。苅田社長は「緊急避難的なコスト削減」により電気料金の値上げ回避に努めるとした。560億円のコスト削減のうち260億円分は「施策の中止、繰り延べ、規模縮小などの臨時措置」であり、「いずれやらなければ安定供給に影響が出る」と説明した。

 抜本的な業績改善には島根原発の再稼働が必要と強調。「日本は資源をほとんど輸入している。安全が大前提ではあるが、原子力もある程度運転させてほしい」と述べた。

 上関原発(山口県上関町)は、福島第1原発事故後に準備工事を中断した。工事を続けるための埋め立て免許の延長を山口県に申請しているが、山本繁太郎知事は今月、判断を1年程度先送りした。苅田社長は「上関は国の重要電源開発地点に指定されている」と稼働への意欲を示しつつ、この1年間で「エネルギー政策の議論を見ていく」と国の意向を注視する考えを示した。

 政府は今月、中長期的な原発の在り方などを示す「エネルギー基本計画」の策定に向けた議論を再開した。「個々のエネルギーには光と陰があり、慎重に進めてほしい。できればわれわれも議論に参加したい」と話した。

(2013年3月29日朝刊掲載)

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