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年末閉鎖 江津の有福温泉荘 被爆者向け療養 再出発 

 今年末で閉鎖する被爆者向け宿泊施設、原爆被爆者有福温泉療養研究所「有福温泉荘」(島根県江津市)の跡地に、広島市の社会福祉法人が、被爆者向けの新たな宿泊施設の建設を検討していることが28日、分かった。

 計画しているのは、広島市東区で特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人かきつばた福祉会。自身も被爆者の山田忠義理事長(78)は、温泉荘を年に数回利用していた。閉鎖を知った昨年末、広島原爆障害対策協議会(原対協、広島市中区)から委託されて運営する江津市の協議会に意向を伝えていた。

 計画では、約3200平方メートルの敷地に、新たな被爆者宿泊施設(30室)を建設し、特別養護老人ホーム(30床)も併設する予定。

 だが、広島市の社会福祉法人が県外で特養施設を運営する場合、中国四国厚生局の認可が必要な上、建設地の広域行政組合から施設設置の認可を得る必要がある。山田理事長は「被爆者の憩いの場を残したい気持ちは強くあるが建設までのハードルは高い」と話す。同協議会長の田中増次江津市長は「地域振興のためにもできる限りの協力はしたい」としている。

 温泉荘は、原対協が1967年に開設。近年、被爆者の高齢化で利用者が減るなどして昨年11月、閉鎖を決めていた。(浜岡学)

(2013年3月29日朝刊掲載)

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