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被爆直後の岩石 執念の収集 広島大医学資料館 記録ノートを初公開

 広島大霞キャンパス(広島市南区)にある同大医学部医学資料館で、被爆直後の実態調査に奔走した研究者たちの軌跡を紹介する企画展「ヒロシマに挑む」が開かれている。旧広島文理科大の研究者たちが市内で採取した岩石と瓦を展示しているほか、採取場所などが詳細に記録されたノートを初公開している。

 岩石と瓦は、地質学鉱物学教室の教員と学生らが1945年10月から12月にかけて集めた。ノートは、当時学生で参加し、後に名誉教授となった秀敬(ひで・けい)氏が48年にA5判1冊にまとめたもの。いずれも、後世の研究者たちが広島原爆が放出した放射線量を推定するのに大いに活用された。

 2007年に秀氏が死去した後はノートのコピーだけが現存すると思われていたが、今春、東広島市の同大文書館で実物が見つかった。広島市内で広く公開しようと、同大原爆放射線医科学研究所(原医研)が展示を企画した。

 企画展では、被爆者医療に携わった医師たちの軌跡も紹介する。被ばく資料調査解析部の久保田明子助教は「焼け跡で一生懸命調べた若い科学者たちの姿を想像してほしい」と話す。9月20日まで。土日祝日と8月13~15日は休館。(山本祐司)

(2019年8月12日朝刊掲載)

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