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墜落・被爆死 米兵を追悼 広島

 第2次世界大戦末期に、広島市やその周辺で戦闘中に墜落死したり、捕虜として被爆死したりした米軍機乗員の米兵を追悼する行事が広島市西区の教専寺であった。被爆死した米兵捕虜を研究しながら、遺族を捜し出して交流している被爆者の森重昭さん(82)が参加した。

 被爆74年に合わせた平和行事として浄土真宗本願寺派の西区、佐伯区と廿日市市の寺院からなる佐伯東組が主催。被爆時に破損した跡が残る本堂に、門徒や平和活動に携わる市民ら約150人が詰め掛けた。

 教専寺の故選(こせん)一法前住職(80)ら佐伯東組の僧侶が、追悼法要としてお経を読み上げた。1945年7月28日に旧日本軍の艦砲射撃を受け墜落したB24爆撃機タロア号の乗員で、教専寺がある草津地区の海に落ち死亡したルドルフ・フラナギン中尉の遺影も置かれた。

 フラナギン中尉の兄の孫に当たるマイケル・フラナギンさんからメッセージが届いており、「宗教の違いも国の違いも超えるもの」と僧侶たちの真心に感謝する言葉が紹介された。

 森さんはタロア号の墜落現場を目撃した住民を交えた座談会に参加。「日本でも米国でも、家族を戦争に奪われた遺族は苦しんだ。戦争は敵も味方も犠牲になる。絶対にやるべきでない」と力を込めた。(金崎由美)

(2019年8月19日朝刊掲載)

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