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対馬丸の悲劇 後世に 中区でパネル展 事件75年 広経大生ら企画

 太平洋戦争中に米潜水艦に撃沈された沖縄の学童疎開船「対馬丸」の悲劇を伝えるパネル展が19日、広島市中区の広島経済大立町キャンパスで始まった。22日で事件から75年となる節目に、沖縄戦などをテーマにフィールドワークを続ける同大の岡本貞雄教授(67)とゼミ生が初めて企画した。25日まで。入場無料。

 対馬丸記念館(那覇市)から借りたパネル20枚を展示。政府が命じた学童疎開、鹿児島沖での撃沈やその後の漂流、生存者や遺族の苦悩などを資料や証言からたどる。ゼミ生が独自に聞き取った証言を紹介するパネル6枚も加えた。

 対馬丸の撃沈では、判明しているだけで学童784人を含む1482人が死亡した。この日は、当時10歳だった生存者の上原清さん(85)=沖縄県うるま市=が証言。自身は竹のいかだに乗り助かったが、多くの級友が助けを待つ間に海に沈んだ。同行の護衛艦による救助はなく、上原さんは「人命よりも船が大事だったのだろう」と憤った。

 岡本教授は「子どもたちを死なせた戦争の悲惨さを理解し、後世に伝えないといけない」と話す。22日午後2時からは、南区の比治山陸軍墓地で犠牲者を悼む慰霊の集いを営む。(明知隼二)

(2019年8月20日朝刊掲載)

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