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非核化道筋どう描く ひろしまラウンドテーブル開幕 9ヵ国の専門家が議論

 東アジアの核軍縮の道筋を探る会議「ひろしまラウンドテーブル」が21日、広島市中区のホテルで始まった。日本、米国、韓国、スイスなど9カ国から、軍縮や外交の専門家たち計24人が参加。「非核化をどう進めるか」をテーマに2日間、意見を交わす。

 主催する広島県の湯崎英彦知事はあいさつで、今月2日の中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効など、核軍縮が後退した厳しい現状を指摘。「各国に本気で核兵器廃絶を進めてもらうためには、核兵器に頼らない新たな安全保障アプローチの提示が重要だ。会議が国際社会を動かす大きな力になると期待する」と述べた。議長を務める東京大大学院の藤原帰一教授(国際政治学)もあいさつで「核使用の現実味も帯びてきている」と懸念を語った。

 続いて、参加者4人が研究成果を報告した。中国の復旦大の沈丁立(シェン・ディンリー)教授は米ロ、米中の関係が不安定な情勢を分析し、「関係悪化のリスクをどう減らすかが重要」などと提起。英国の王立国際問題研究所(チャタムハウス)シニアリサーチフェローのベイザ・ウナル氏は「人工知能(AI)など最先端技術を踏まえた核抑止論を考えなければいけない」と主張した。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)リサーチャーのティティ・エラスト氏は、国連で採択された核兵器禁止条約について「国際的な検証の仕組みが必要」と強調した。早稲田大の栗崎周平准教授は「核軍縮と両立できる新たな核抑止戦略の理論を探る機運が、世界の研究者の間で生まれている」と紹介した。

 全体会と分科会は「忌憚(きたん)のない意見交換をする」(県平和推進プロジェクト・チーム)として非公開となる。成果は22日、議長声明として公表。来年春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に提出する。ラウンドテーブルは県の「国際平和拠点ひろしま構想」に基づき、2013年から毎年開いている。(久保友美恵)

(2019年8月22日朝刊掲載)

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