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社説・コラム

天風録 『寝苦しい夜はいつまで』

 きょうから二十四節気は「処暑」。天気予報は暦通りに来週初めから、朝晩が幾分しのぎやすくなりそうだという。寝苦しさで夜半に目が覚め、いきおい寝不足になり、昼間もイライラが募る。そんな夏も終わりと思えば名残惜しい▲温暖化は地球全体から冷静さを奪うのだろうか。ロシアや中国の動きに対抗してトランプ米大統領は近く、「宇宙軍」を配下に加える。いずれは陸海空や海兵隊と並ぶ独立軍に昇格させるというから、物騒この上ない▲地上からミサイルで衛星を撃ち落としたり、衛星を攻撃する衛星を打ち上げたりする。大国同士がいがみ合ったままでは早晩、星空は熱い戦場に。寝付けない夜が増えそう▲悪夢は真っ平と、いさめ役になってもいいはずなのに、わが防衛省も来年度予算の概算要求に「宇宙作戦隊」の新設を盛り込んだ。宇宙空間の監視が目的だが、米宇宙軍から指導教官を招く計画も。はては合同演習か▲中距離核ミサイルに、人工知能(AI)が操る殺人ロボット、さらに「核兵器より怖い」とされるサイバー兵器…。このところの大国間の軍拡競争は案外、各首脳のいらつきが大きな要因かも。願わくは、それぞれに、眠れる夜を。

(2019年8月23日朝刊掲載)

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