連載・特集

　２０１８年、朗読劇「アサガオの雫」の上演を見て、ぜひ関わらせてほしいと言ってくれた方がいた。私の活動に賛同してくれたのだ。正直驚いたが、とてもうれしかった。この夏、「Ｐｒａｙ　Ｆｏｒ　Ｐｅａｃｅ　２０１９」というコンサートの一部として大阪、長崎、神奈川で朗読劇を上演できることになり、目標にしていた長崎公演が思いの外早く実現することになった。

　長崎では、戦争体験者もいらっしゃるかもしれないし、被爆２世、３世もいらっしゃるだろう。どのように映るか少し心配ではあったが、終幕に向けて、すすり泣く音や、ハンカチで涙を拭う動きを会場中から感じ、受け入れてもらえた手応えを感じた。

　また別の話だが「ヒカリ」というヒロシマを描いた作品を創っている深来マサルさんに出会った。彼も広島出身で、東京でお好み焼き店を経営しながら役者をしている。広島愛が強く、「ヒカリ」をおりづるタワーで上演したいという夢を聞かせてもらった。あのおりづるタワーで？　と驚いたが、彼の強い思いがかない、５年の計画を経て今月２６～２８日に公演することが決まったのだ。これはインプロ（即興劇）という分野で、私にとって未知の世界だったが、一緒にやろうと声をかけていただき出演することになった。今、ワークショップで必死に訓練している。

　自分が強い志を持って行動すれば、もっと大きなエネルギーを持った方と出会えるんだと感じた。そして、そういう方たちと手をつなげば、夢が広がっていく気がした。私の夢はどんどんかたちを変えていく。（舞台俳優＝東京都）

（２０１９年９月４日朝刊掲載）

緑地帯　中村香織　夢のかたち　＜１＞

緑地帯　中村香織　夢のかたち　＜２＞

緑地帯　中村香織　夢のかたち　＜３＞

緑地帯　中村香織　夢のかたち　＜４＞

緑地帯　中村香織　夢のかたち　＜５＞

緑地帯　中村香織　夢のかたち　＜６＞

緑地帯　中村香織　夢のかたち　＜８＞