×

ニュース

ローマ法王訪問 ヒロシマの心 感じて 市長や知事歓迎

 ローマ法王の広島訪問が正式に発表された13日、訪問を求めてきた広島市の松井一実市長と広島県の湯崎英彦知事は、あらためて歓迎の気持ちを表明した。法王が被爆地から発する平和へのメッセージを通じ、世界の人々や為政者に核兵器廃絶の機運が広まることに強い期待を示した。

 松井市長は2017年11月、法王に一般謁見し、長崎市の田上富久市長と連名で、被爆地広島、長崎への訪問を求める親書を直接手渡した。

 世界各地から集まった人々が法王の言葉に耳を傾けていた光景を振り返り、「広島で発信するメッセージに多くの人が賛同する姿が世界の為政者に届けば、市民の真の望みを受け止めてもらえるはずだ。ヒロシマの心、被爆者の思いを直接感じてもらいたい」と願った。

 同年5月に法王に謁見した湯崎知事は「法王は核兵器廃絶に並々ならぬ決意をお持ちで、宗教宗派の違いを超えて尊敬を集める存在」と強調。米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が今年8月に失効するなど、核軍縮が後退している情勢に触れ「法王のお言葉は核兵器について世界の人々が考える契機になる。力強いメッセージをいただきたい」と話した。(加納亜弥、樋口浩二)

強い後押し願う

長崎市の田上富久市長の話
 法王には「長崎を最後の被爆地に」との願いを込めた未来に続くメッセージを発信し、核兵器廃絶に向けさらに強い後押しをしていただくことを願っている。法王が「焼き場に立つ少年」の写真に「戦争がもたらすもの」とメッセージを添えて配布し、世界中に警鐘を鳴らしたことは、核のない世界を望む世界の人々を大いに勇気づけた。長崎、熊本の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の価値についても言及していただけるよう期待する。

(2019年9月14日朝刊掲載)

年別アーカイブ