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米が事前連絡を中止 オスプレイ 岩国基地への飛来 情報公開後退 懸念の声

 米軍の輸送機オスプレイが、国から地元自治体への事前連絡なく岩国基地(岩国市)に飛来するようになっている。世界各地で墜落事故やトラブルが相次いだことから国は2012年の配備以来続けてきたが、米が知らせなくなったため。住民団体からは基地を巡る情報公開の後退を懸念する声が上がっている。

 国内のオスプレイは、海兵隊仕様のMV22が同年10月に普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)、空軍仕様のCV22が18年10月に横田基地(東京都福生市など)に配備された。岩国基地は他基地の往来時などの中継地とされ頻繁に飛来している。

 岩国基地への飛来で防衛省は、山口県や岩国市からの要請を受け、事前の離着陸予定と事後の目視状況を毎回知らせてきた。だが、基地周辺の廿日市市や広島県を含め最後の情報提供があったのは8月24日。以後も岩国市では9月に離着陸や飛行が確認された日が10日間あった。

 中国四国防衛局の武内哲也報道官は「8月24日以降、米側からの情報提供が途絶えた」と説明。「飛来情報が得られれば関係自治体に伝えるなど適切に対応する」としている。

 同様の問題は他地域でもみられ、北関東防衛局は9月27日、横田基地周辺の自治体に「10月以降は目視情報の提供を中止する」と通告した。「配備から1年が経過し、一定の役割を果たしたため」とする。関係自治体は情報提供の継続を要請している。

 廿日市市の市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会」の坂本千尋共同代表(66)は「オスプレイは近年も重大事故や緊急着陸を繰り返している。知らないうちに上空を飛ばれると不安が増す」と訴える。国や米側に情報提供を強く求めるよう岩国市に要請する予定だ。(松本恭治、和多正憲)

(2019年10月4日朝刊掲載)

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