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福屋 広島との歩みたどる 本店が被爆建物 当時の外壁公開 展示スペースや説明板

 百貨店の福屋(広島市中区)は創業90周年を迎えた1日、被爆建物の八丁堀本店に同社と広島の歩みを紹介する展示スペースを開設した。被爆時の店舗の外壁の一部を初公開。被爆の惨禍と復興の歴史を伝える。

 東側入り口の約30平方メートルを改装し、壁一面に、年表と約110枚の写真を並べた。1929年10月に広島初の百貨店として開業した際のにぎわいをはじめ、戦前の本通りの町並み、原爆被害を受けた店舗や、57年の旧広島市民球場の完成当時を振り返る。外壁5点はテラコッタで、ガラスケースに入れて展示している。

 オープン直後に訪れた山脇誠子さん(74)=中区=は「小学生の頃、両親に福屋へ連れて来てもらうのが本当に楽しみだった。あの瞬間に戻った気がする」と懐かしそうに写真に見入っていた。

 さらに正面玄関には、日本語と英語で「被爆建物」「戦後復興のシンボル」と記した説明板も設置した。

 爆心地から710メートルに位置する同店は原爆で内部を焼失したが、46年2月に営業を再開した。「これまで多くの人に支えられてきた。感謝の気持ちを展示に込めた」と販売促進部の月山淳一次長(43)は話している。(桑島美帆)

(2019年10月7日朝刊掲載)

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