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米露枠組み修復が重要 核軍縮へ 賢人会議が国に報告書 「指導者は被爆地訪問を」

 核兵器保有国と非保有国の有識者が核軍縮への道筋を話し合う外務省の「賢人会議」は21日、2年間の議論をまとめた報告書を若宮健嗣副大臣に提出した。核兵器を巡る国際情勢の悪化を受け、米ロによる核軍縮の枠組み修復が重要と強調。世界の指導者による広島、長崎への訪問の必要性も盛り込んだ。

 報告書は計56ページ。米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効などが「核の惨事のリスクを増大させている」と現状を分析。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成功が大事だと指摘した。

 日本政府が再検討会議までに着手し得る行動として、米ロの軍備管理の枠組み修復への努力を挙げた。また、「被爆者の語りは核軍縮に不可欠な証言」と明記し、世界の国家指導者に広島、長崎への訪問を促すよう求めている。再検討会議後の核軍縮の機運維持も重要とした。

 賢人会議の座長を務めた熊本県立大の白石隆理事長が外務省を訪ねて手渡した。若宮副大臣は「核軍縮の状況は非常に厳しい。今回の報告書をいい形で生かしたい」と述べた。

 賢人会議は、当時外相だった自民党の岸田文雄政調会長(広島1区)が提唱し、17年11月に広島市で初会合を開催。今年7月までに計5回開いた。外務省は報告書を生かすため、賢人会議の後継組織の設立を検討している。(河野揚)

(2019年10月23日朝刊掲載)

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