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黒い雨「シャツに染み」 広島地裁口頭弁論 原告8人が証言

 原爆投下後に「黒い雨」を浴びたのに被爆者健康手帳などの交付申請を却下したのは違法として、広島市や広島県安芸太田町などの男女計85人(うち8人は死亡)が市と県に却下処分の取り消しを求めた訴訟の口頭弁論が21日、広島地裁であった。原告8人の尋問があり、黒い雨を浴びた当時の状況を証言した。

 原爆投下当時5歳だった本毛稔さん(79)は、佐伯郡水内村(現広島市佐伯区湯来町)の自宅前で閃光(せんこう)を目にし、地鳴りを聞いた。しばらくして空が黒い雲で覆われて雨が降り始め、着ていた白いシャツは雨が当たった所に黒い染みができた。「20代半ばまで原因不明の鼻血に悩まされ、白内障の手術も何度も受けた」と証言した。

 今も住む、水内川に面した自宅の川向こうは「大雨地域」として国の援護が受けられる一方、自宅周辺は「小雨地域」で援護の対象外。「同じ雨を浴びたのにどうして川を挟んで線引きできるのか」と援護対象区域の拡大を求めた。被告側の反対尋問で雨量を問われると「はっきりと覚えていない」と答えた。(松本輝)

(2019年10月23日朝刊掲載)

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