×

ニュース

本館の耐震工事完了 原爆資料館 建物下 通行可能に

 2017年6月に始まった原爆資料館本館(広島市中区)の耐震改修工事が25日、完了した。建物を囲んでいた通行規制の柵が取り除かれ、本館下のスペースの往来ができるようになった。一帯では改修工事前から被爆遺構の発掘調査もしており、本館下からフェンスなど全ての設置物がなくなるのは約4年ぶり。

 この日は、工事の請負業者が本館一帯を囲んでいた柵を撤去。国内外から訪れた観光客たちが本館下を通行する姿があった。

 本館は国重要文化財で、耐震改修は外観を大きく変えないよう、くいを打って基礎を補強した上で地下に免震装置を取り付ける工法を採った。事業費は内装や、東館と結ぶ渡り廊下の架け直しを含めて計28億4200万円。当初19年7月末の完了を見込んだが、過去の施工部分の不良が見つかるなどしてずれ込んだ。

 一帯では、改修に伴って失われる地下の被爆遺構を記録するため、15年11月から発掘調査も実施。16年5月のオバマ米大統領(当時)の訪問時など一部通行が可能だった時期はあるが、常にフェンスなどがある状態だった。

 本館下のスペースは日陰となるため、工事や発掘調査の前は修学旅行や遠足の子どもたちが弁当を食べたり、混雑時に入館待ちしたりする場所として活用されていた。市平和推進課は「来年の被爆75年の平和記念式典に影響なく工事を終えられ安心した。4年ぶりに景観がよみがえり感慨深い」としている。(明知隼二)

(2019年10月26日朝刊掲載)

年別アーカイブ