×

ニュース

想像力で核なき世界へ サーローさん自伝出版記念 東京で被爆体験語る

 広島で被爆したカナダ・トロント在住のサーロー節子さん(87)が東京の神保町ブックセンターであった自伝「光に向かって這(は)っていけ 核なき世界を追い求めて」(岩波書店)の出版記念イベントに出席し、被爆体験や核兵器廃絶運動への思いを語った。

 サーローさんは、2017年に国連で核兵器禁止条約が成立したことを「夢のようだった」と振り返った。一方、条約交渉への参加を拒んだ日本政府について「唯一の被爆国として世界の先頭を歩んでいると言うが、全くのうそだ。いざとなると米国の背後に隠れている」と強く批判した。

 被爆時の記憶を持たない若い被爆者たちからも学び、励まされてきたというサーローさん。「想像力を持てば、被爆者でなくてもあの体験を理解できるはず。廃絶に向かって皆で前に進もう」と呼び掛けた。

 非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))」の国際運営委員として共に活動する東京のNGOピースボートの川崎哲(あきら)共同代表も同席し「怒りを率直に表現するサーローさんのメッセージは世界の人々の心を動かしている」と語った。

 サーローさんは天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に参列するため10月から一時帰国。9日午後1時半から広島市中区の中国新聞ホールで講演する。(金崎由美)

(2019年11月4日朝刊掲載)

年別アーカイブ