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統治下沖縄 抵抗者の「素顔」 映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男-」の佐古忠彦監督 夫・父としての姿に迫る

 TBSテレビ所属の佐古忠彦監督の映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」が中国地方など各地で公開中だ。米軍統治下の沖縄で抵抗運動の象徴だった政治家、瀬長亀次郎さんに迫ったドキュメンタリーの第2弾。広島市を訪れた佐古監督は「前作で描けなかった『素顔』に焦点を当てた。沖縄の現状に心を寄せるきっかけになれば」と願う。

 前作は2016年に関東ローカルのテレビ番組として放送後、17年に劇場公開。ミニシアター系としては異例のヒットを記録した。「正直、予想外の反響だった」と佐古監督。観客から、米軍と不屈の闘いを続けた人物像をもっと深く知りたい―との声が多く寄せられたという。

 瀬長さんが残した230冊以上もの日記を読み解き、愛情深い夫、父親としての姿を紹介。新たに発掘した貴重な映像も盛り込んだ。音楽は前作に引き続き坂本龍一、日記の朗読などの語りは役所広司が担う。

 1971年、沖縄返還を巡る国会論戦で当時の佐藤栄作首相と瀬長さんが論戦を繰り広げる場面からは、今につながる沖縄と本土の距離が浮かび上がる。沖縄の思いを訴える瀬長さんに向き合い、自らの言葉で答弁する佐藤首相の姿も印象的だ。「互いを尊重している。今の国会の状況とは違う」と佐古監督。

 故筑紫哲也さんとともにキャスターを務めた報道番組「NEWS23」が、沖縄報道の原点という。「前作の公開時よりも本土では基地問題への関心が薄れているように感じる。生涯のテーマとして追い続けたい」

 西区の横川シネマと岡山市北区のシネマ・クレールで公開中。(西村文)

(2019年11月16日朝刊掲載)

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