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教皇メッセージに感銘 平和活動へ決意新た

 世界の注目を集めた24日夜のローマ教皇(法王)フランシスコの広島訪問で、広島市中区の平和記念公園であった集いには多くの被爆者や若者たちが参加した。教皇のメッセージから感銘を受けたり、平和活動の励みにしたりした。

 「気持ちが通じ合えた」。広島で米兵捕虜12人が被爆死した事実を明らかにした歴史研究家で被爆者の森重昭さん(82)=広島市西区=は教皇と握手を交わした。3年前、同公園で抱擁した米国のオバマ大統領(当時)のことを思い出したという。「戦争は悪であり、平和を後世にしっかりと伝えていく。教皇は一番大切なことを繰り返し話された」と受け止めた。

 教皇はメッセージの中で原爆の犠牲者について「異なる言語を話す人たちがいた」と語った。韓国原爆被害者対策特別委員会委員長で被爆者の李鐘根(イジョングン)さん(90)=安佐南区=は、多くの韓国人が被爆し、差別に苦しみながら亡くなっていったことに触れ、「知ってほしかった事実を話された。本当にありがたい」と話した。

 崇徳高(西区)の新聞部員は集いに参列し、会場周辺で「教皇訪問が核廃絶につながるか」などと聞くアンケートもした。「武力を持ちながら平和を望む矛盾を指摘したメッセージに深く考えさせられた」と、2年の舛井亮太さん(16)。広島の記憶を次代に伝えようと説いた教皇の姿に、部長の2年豊嶋択斗さん(16)は「平和に関心がある中学生や高校生はまだ少ない。発信することが自分たちの使命」と応えた。

(2019年11月26日朝刊掲載)

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