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東京五輪 聖火ランナー発表 102歳「勇気づける走りを」 被爆者の冨久さん

 三次市の冨久正二さん(102)は、陸上短距離60メートルで100~104歳の部の日本記録を保持する現役のランナー。戦争や被爆を経験しながら100歳を超えても健康で走り続けられていることに感謝する。「多くの人を勇気づけられる走りがしたい」と力を込める。

 冨久さんは日中戦争で広島歩兵第11連隊に入隊。中国河南省で銃撃戦も経験した。その後、赤痢を発症して帰国。旧国鉄に入り、備後十日市駅(現三次駅)の事務助役になった。1945年8月6日、上司を救助するため午後に広島市へ赴き、入市被爆した。

 焼け野原の惨状を「今でも脳裏に浮かぶ」と振り返る。戦争や原爆で亡くなった仲間も多く、「生きてこられたのは奇跡」と言う。

 陸上を始めたのは97歳の時。三次市で整体院を開く知人に勧められた。挑戦すると、走るたびに動きが軽やかになり、2017年に60メートルの日本記録を塗り替えた。応援してくれる仲間も増えた。

 聖火リレーのランナーに決まり、「前を見て、(地面を)踏みしめて一生懸命走って完走したい」と熱く語る。毎日、家でフィットネス用のバイクをこいで練習に励む予定だ。(八百村耕平)

(2019年12月18日朝刊掲載)

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