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平和式典のデモ音量規制 条例案 2月は「困難」 広島市長

 広島市が8月6日の平和記念式典の静粛を確保するため、デモの拡声器の音量を規制する条例制定を検討していることを巡り、松井一実市長は18日の記者会見で、従来めどとしていた来年2月の市議会定例会への条例案提出は「難しい」との認識を示した。デモの主催団体との話し合いでの解決を重視するためで、解決できない場合は条例を検討する考えも重ねて示した。

 松井市長は2月の条例案提出について「難しいと思われても仕方がない」と述べた。条例を制定する場合は来年の被爆75年の式典に間に合わせたいとしてきたが、6月の定例会への提出も「市民に一定の行為制限をする条例をつくる場合、さまざまな準備がいる。周知期間が1、2カ月では好ましくない」と否定的な考えを示した。

 市が今年の式典出席者を対象に実施したアンケートでは回答者の71%が「式典全体を通して厳粛な環境が必要である」と回答している。松井市長は「厳粛な環境での式典を多くの人が望んでいることについて、デモの関係者の方はしっかりと受け止めてほしい」とも述べ、話し合いでの解決を重視する考えを強調した。

 市の条例による規制の検討を巡ってはこの日、広島県原水禁と県平和運動センター、憲法を守る県民会議の3団体の代表が市役所を訪れ、「市民の言論や表現の自由の規制からは、決して平和をつくることはできない」などとして、条例制定に反対する要請書を政氏昭夫市民局長に提出した。(永山啓一)

(2019年12月19日朝刊掲載)

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