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原爆症認定 見直し要請 被団協 厚労相、慎重な考え示す

 被爆者が原爆症と認定するよう国に求めている訴訟を巡り、日本被団協と加藤勝信厚生労働相(岡山5区)の定期協議が18日、厚労省であった。被団協は原爆症の認定制度を見直すよう求めたが、加藤氏は慎重な考えを示した。

 冒頭で、被団協の児玉三智子事務局次長(81)と金本弘代表理事(75)が、いずれも広島での被爆体験などを語り「74年間、苦しんで生きてきた。被爆者の願いに応えてほしい」と訴えた。その後、国が訴訟の解決にどう努力してきたかを木戸季市事務局長(79)が質問した。

 加藤氏は「裁判で国側が敗訴している事例もあるが、行政の認定と裁判の判断は違いがある」とし、従来方針を説明。一方で「裁判の動向を踏まえながら、私どもも運用面を考えないとならない」とも語った。

 被団協と厚労相の定期協議は、2009年に被団協と政府が交わした確認書に基づいて原爆症認定問題を解決するために始まり、8回目。被爆者と国が法廷で争う状況は続いている。協議終了後、被団協の田中重光代表委員(79)は記者会見し、「厚労省の方針は変わらず、進展がなかった。残念だ」と述べた。(河野揚)

(2019年12月19日朝刊掲載)

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