×

ニュース

賢人会議「後継」 発足準備進める 外務省 政府関係者加入も

 外務省は、核軍縮の方策を2年にわたって検討した有識者の「賢人会議」が10月に報告書をまとめたのを受け、後継組織の準備を進めている。核保有国と非保有国の垣根を越えて議論する場が引き続き必要と判断。2020年春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議までの発足を目指す。

 同省は、後継組織のメンバーを大学教授ら有識者に限定せず、各国の政府関係者を加えることで政策に反映させたい考え。一方で、核なき世界の実現には被爆地の声が重要だと捉え、広島、長崎を代表する有識者についても「できれば加わってもらいたい」(同省幹部)としている。

 賢人会議は被爆地広島の選出の岸田文雄自民党政調会長(広島1区)が外相時代に提唱した。核保有国と非保有国の有識者計17人がメンバーとなり、17年11月に広島市南区で初会合を開いた。

 日本の委員は7人で、被爆地から広島平和文化センターの小溝泰義前理事長と、日本赤十字社長崎原爆病院の朝長万左男名誉院長が入った。5回の会合を経て報告書をまとめ、米国とロシアの核軍縮の枠組みを修復する重要性や、世界の指導者による被爆地訪問の必要性などを盛り込んだ。

 茂木敏充外相は記者会見などで「賢人会議の成果を活用したい」と強調。同省幹部は後継組織の発足を急ぐ理由について「NPT再検討会議でアピールできる材料は多いほどいい」と話す。(河野揚)

(2019年12月30日朝刊掲載)

年別アーカイブ