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被爆地の復興 紙芝居に 中区の竹屋小

 竹屋小(中区)の全校児童約300人と紙芝居作家の福本英伸さん(63)=西区=が、被爆地広島の緑の復興を題材にした紙芝居を作っている。被爆後「75年間は草木も生えぬ」と言われた市街地。豊かな緑を取り戻す原点となった市の「供木運動」を描き、メイン会場で披露する計画だ。

 「美しい姿でこの町をいま一度、元気にしてください」。2019年11月、4年生41人が図書室で、図書ボランティアの朗読に聞き入った。福本さんが供木運動をテーマに紡いだ「ヒロシマ緑の輪物語」。焦土と化した広島で、各地から寄せられたスギやイチョウたちが広島の未来について語り合うストーリーだ。

 聞き終えた児童は、教室で印象に残った場面を画用紙に描いていった。飛んで来たカラスが語る原爆投下直後の惨禍、緑が生い茂る広島を想像する木…。さまざまな視点の絵が仕上がった。

 被爆直後の町の様子を描いた東桔史(よしふみ)君(10)は、あえて絵に色を塗らなかった。「戦争が起きた悲しさを白黒で表現した。平和の大切さが伝わる紙芝居になってほしい」

 全校児童が描いた絵を参考に福本さんが紙芝居を創作。紙芝居と児童の絵はメイン会場に飾り、児童による紙芝居の上演も予定する。福本さんは願う。「子どもたちの平和への思いが作品に込められている。被爆75年という節目のフェアで、緑によって復興を遂げた広島の歩みを伝えたい」

(2020年1月3日朝刊掲載)

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