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「夕凪の街」の世界へ 改札前にステンドグラス アストラム本通駅

 広島市西区出身の漫画家こうの史代さんの原爆をテーマにした作品「夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国」の世界にいざなう大型ステンドグラスが29日、中区のアストラムライン本通駅改札前にお目見えした。新たなにぎわいを生み出そうと、広島高速交通(安佐南区)と日本交通文化協会(東京)が設置した。

 こうのさんが原画を担当。桜が舞う中、ヒロインの皆実が原爆ドームを背景に川岸を歩く情景が描かれている。約80色、計1400ピースのガラスを組み合わせ、縦2・8メートル、横7メートル。ほんわかしたタッチが引き立つよう、裏側に照明を配した。

 この日は改札前で除幕式があり、松井一実市長たちが出席した。こうのさんが「思い出深い本通駅に作品が飾られ、夢のような気持ち」と喜びを語ったビデオメッセージも流された。

 同駅は原爆ドームの最寄り駅で、市民や観光客の利用が多い。平和の尊さや安らぎを感じてもらう狙いもあるという。買い物帰りに訪れた安佐南区の会社員近藤和美さん(48)は「柔らかな色合いがきれいで、こうのさんの世界観が伝わる。これから通るのが楽しみ」と見入っていた。制作費は日本宝くじ協会が全額助成した。(井上龍太郎)

(2020年3月1日朝刊掲載)

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