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朗読劇の「夏の会」が寄贈 原爆資料館に展示ケースなど

 被爆手記の朗読劇「夏の雲は忘れない」の全国公演を女優たちで12年間続け、昨年9月に解散した「夏の会」が原爆資料館(広島市中区)に展示ケース2点とパネル1点を寄贈した。運搬費などを含め約350万円分。公演で得た収益を充てた。

 今月上旬、公演に協力してきたNPO法人ANT―Hiroshima(同)の渡部朋子理事長らが見守る中、搬入された。展示ケースはスタンド式で、近く始まる予定の新着資料展で使われる。パネルはすでに活用されている。

 加藤秀一副館長は「展示ケースの一部は老朽化しており、ありがたい。犠牲者の悲しみや原爆の残虐性が、展示を通してより強く伝わる」と喜んだ。

 演劇集団「地人会」が朗読劇を上演していた1985年から出演してきた俳優の高田敏江さん(85)は「原爆投下の前日にあった群馬・前橋空襲の体験から、戦争だけは絶対いけないという思いで続けた」という。寄贈について「被爆体験の継承に役立ててほしい」と話している。

 「夏の会」は、長崎市にも城山小平和祈念館の展示ケースなど約350万円分を贈る。(桑島美帆)

(2020年3月17日朝刊掲載)

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