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大竹→沖縄 平和交流中止 新型コロナ拡大防止 中学生落胆 思い手紙に

 大竹市と沖縄県豊見城市の中学生が相互訪問する交流事業で、26~28日の大竹側からの訪問を取りやめることが決まった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためで1992年の開始以来、中止は初めて。平和を希求する両地域のつながりを深める活動が一時中断されることになり、残念がる声が上がっている。(白石誠)

 計画では、大竹市内の中学2、3年13人が26~28日、沖縄県の豊見城市などを訪問。糸満市のひめゆり平和祈念資料館で戦争体験の講話を聞いたり、ウージ染めに挑戦したりして、豊見城市の2、3年11人と友情を育むはずだった。

 しかし国内のウイルス感染の終息が見通せず、両市は無念の中止を決めた。当初は昨年8月に計画していたのを台風の影響で約半年延期していたが、訪問がかなわなかった。心待ちにしていた大竹の生徒は落胆しているという。大竹市教委の小西啓二教育長は「多感な時期に互いの文化や生活を学び、生きた教育となっている」と意義を指摘。大竹側は思いを手紙に記し、豊見城の子に届けるという。

 相互訪問は1年交代で、2018年8月には豊見城側が広島を訪れた。西日本豪雨で県内に大きな被害が出た翌月だったが、実現にこぎ着けた。豊見城の子は平和記念公園での8・6式典に参列。迎え入れた大竹側とマツダスタジアムでカープ戦を観戦するなど、平和の尊さをかみしめた。

 約千キロ離れた大竹市と豊見城市。これまで計400人余りの生徒が交流した。兄や姉の感想を聞いて参加した例も少なくないという。豊見城市によると再会を祝い、沖縄の伝統芸能エイサーを大竹の子に披露する予定だった。豊見城市教委生涯学習振興課の真境名(まじきな)翔主任主事は「引き続き、大竹との平和交流を進めていく」と話す。

 大竹市は20年度から中学生を新メンバーに交代。豊見城側の8月の広島訪問を見据えて準備を進める。

(2020年3月18日朝刊掲載)

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