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連載・特集

『生きて』 元自民党政調会長 亀井静香さん(1936年~) <1> 官邸の主

シンゾーよ 聞きなさい

 自民党の政調会長や閣僚を歴任した。郵政民営化に反対して新党をつくり、反自民政権で辣腕(らつわん)を振るった。政界引退から2年余。亀井静香さん(83)の言動は今も耳目を集める。広島県北部の決して裕福ではない農家に生まれ、「教育こそ子に残す財産」と信じる両親の支えで東京大へ。警察官僚を経て政界に飛び込んだ。この日のインタビューは東京・永田町の高層ホテルのラウンジで。首相官邸を見下ろし、語り始めた。

    ◇

 政治家なら誰しも、あそこの主になりたいと思うもんだ。俺も挑戦したけど純ちゃんに負けちゃった。もし総理になっていたら、弱肉強食の新自由主義がはびこる今のような日本にはさせなかったんだけど。

  ≪2003年の自民党総裁選で小泉純一郎首相に敗れ、再選を許した。あれから17年。今の官邸の主を「シンゾー」と呼ぶ≫

 シンゾーも頑張った。歴代最長になったんだろ。ただね、もうお辞めなさい。牛のよだれ政権だ。ダラダラやるもんじゃねえよ。国民にも飽きがきている。外交にしてもトランプ(米大統領)の言いなりだ。ポチになっちゃあ、いけねえ。

 ≪歯に衣(きぬ)着せぬ物言いだが、安倍晋三首相とのパイプは保つ≫

 盟友の石原慎太郎(元東京都知事)と連れ立って物申すんだ、シンゾーに。いや、敬意を込めて安倍総理と呼ぼう。彼は言うよ。「政権禅譲なんて、あり得ませんよね」ってね。当たり前だよな。権力の座って勝ち取るもんだぜ。ポスト安倍と言われる連中はなんで「総理そこをどけ、俺がやる」って言わねえんだ。

 ≪敵をいなし、しなやかに身を守る―。学生時代に打ち込んだ合気道の精神を大切にする。策士、暴れん坊、人情家…。さまざまな言われ方をしてきた。問わず語りのその半生記は、どこか笑いと共感を誘う≫

 今の自民党は上から下までご機嫌取りばかりだ。選挙で党公認がもらえないことを恐れているなら、まったく、だらしがねえよ。政治家はやはり地元に根を張らないと。選挙で困った時も仲間が助けてくれる。俺は、そうして生かされてきたんだ。(この連載は東京支社・下久保聖司が担当します)

(2020年2月4日朝刊掲載)

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