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温品8・6 映像で継承を 広島市東区 地元の松田さんが作品

 アマチュア映像作家グループ「広島エイト倶楽部(くらぶ)」のメンバー、松田治三さん(84)が、地元の広島市東区温品地区の原爆被害を伝える映像作品「あの日あの時 75年前の温品村は」を完成させた。同地区の小中学校や公民館に配り、記憶の継承に役立ててもらう。

 同地区は爆心地から約5キロ。1945年8月6日の原爆投下後、救護所となった当時の温品小には多くの被爆者が運び込まれた。作品は約10分。当時を知る住民5人の証言を軸に、同小で目にした閃光(せんこう)や巨大なきのこ雲、市中心部から逃げてきた被爆者の無残な姿を伝える。

 同小に収容された被爆者が描き残した原爆の絵や、同小に残る当時の学校日誌も紹介。松田さんは「温品で起こったあの日、あの時の惨禍、惨状を後世に伝え残さねばなるまい」と作品を締めくくった。

 松田さんは約20年間、映像作品を撮り続けてきた。地元と原爆の関わりを伝える作品を残そうと昨秋から取材を重ね、3月末に完成させた。「当時を知る人が減り、温品のような郊外の原爆被害は忘れられつつある。学習に活用し、語り継いでほしい」と願う。(田中美千子)

(2020年4月8日朝刊掲載)

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