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8・6式典 縮小検討 広島市 来月にも具体案 新型コロナ 中止は否定

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、広島市の松井一実市長は9日、8月6日に平和記念公園(中区)で営む平和記念式典について、参列者の密集を避けるために規模の縮小を検討する考えを明らかにした。5月中にも式典の規模や内容などの具体案をまとめる。(明知隼二)

 松井市長は記者会見で、式典は密集、密接に該当するため、感染拡大につながりかねないと指摘。今後も拡大が続けば「参列や参加を大幅に遠慮いただいて開催する展開になるのではないか」と展望した。

 式典の時間帯には、国内外から観光客や参列者たち約5万人が平和記念公園を訪れる。「2メートル間隔で並んでもらうなどの対応は現場では難しい。扱いを考えなければならない」と述べ、公園への入場規制などがあり得るとの認識を示した。

 式典の規模や内容は、例年なら5月末ごろにする各国大使館への案内状の発送をはじめ、警備体制や資機材の調達などに広く関わってくる。このため、具体案は5月中にも示す考えで、今後の感染の広がりを見極めながら練り上げる。

 中止については「十分な対策と調和させ、開催したい」として否定した。式典には死没者の慰霊、世界への平和発信、平和教育などさまざまな意義があるとして「今回は慰霊に目的を絞るという性格付けをして、広く納得してもらえる開催方式を考えたい」とした。

 平和記念式典は1947年に「平和祭」として始まり、毎年8月6日に開いている。これまでに中止となったのは、朝鮮戦争の影響を受けた50年のみ。被爆75年の節目となる今年は、国連のグテレス事務総長が参加する意向を示している。

(2020年4月10日朝刊掲載)

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