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被爆南方留学生 絵本に マレーシアの桧山さん親子 日本語教材用 ウェブで公開

 マレーシア在住の日本語教師、桧山純子さん(48)=山口市出身=と大学生の長女アイナ・ヒヤマ・ザズリさん(20)が、広島で被爆したマラヤ(現マレーシア)出身の留学生をテーマに、日本語学習者用の絵本を制作した。国際交流基金クアラルンプール日本文化センターのウェブサイトでPDF版を公開している。

 絵本「ヒロシマにいた友だち」の主人公は、現在の広島大に留学中に被爆したニック・ユソフさん、サイド・オマールさん、アブドル・ラザクさん。太平洋戦争中の1943年以降に「南方特別留学生」として来日した。

 原爆が落とされた後の光景や、ユソフさんとオマールさんが19歳で被爆死したこと、生きて帰国したラザクさんが7年前に88歳で亡くなるまで周囲に体験を語っていたことが書かれている。日本の人たちがユソフさんとオマールさんの墓をつくり、毎年墓前で手を合わせていることも紹介。円光寺(京都市)のオマールさんの墓と、光禅寺(広島市佐伯区)にあるユソフさんの墓の写真と住所も載せた。

 絵本作りのきっかけは、広島の日本語教師らが活動する「平和の大切さを伝える日本語教材をつくる会」の知人を通して、原爆資料館(中区)のヒロシマ・ピース・ボランティアでもある中越尚美さん=広島県熊野町=と出会ったこと。桧山さんが絵本の構成を練り、アイナさんがデジタルアートでイラストを手掛けた。中越さんに原爆被害の用語や記述を見てもらった。

 「戦争の光景を何度も想像して絵を描いた」とアイナさん。桧山さんは「私の伯母は原爆で亡くなった。南方特別留学生が被爆していた事実や、広島の人たちの追悼の気持ちを知ってもらいたい」と力を込める。

 https://www.jfkl.org.my/language/tadoku/malaysiabooks  (桑島美帆)

(2020年4月20日朝刊掲載)

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