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被爆「唯一生存」伝える 広島市中区 本川小資料館に展示

 本川小(広島市中区)の平和資料館に、当時の本川国民学校で被爆し唯一生き残った児童だった居森(旧姓筒井)清子さん(2016年に82歳で死去)の体験を伝えるパネルが加わった。同校が原爆資料館(中区)の協力を得て展示内容を充実させた。

 同校は爆心地から約350メートルで、広島原爆戦災誌によると少なくとも児童218人が亡くなったとされる。当時6年生だった居森さんは校舎1階の靴脱ぎ場にいたという。

 パネルは縦75センチ、横1・5メートルの2枚。全身黒焦げの友人が助けを求めて来た時の様子や、近くの本川を死体が次々と流れていった光景を、居森さんの語り口調で記す。原爆で犠牲になった父や、全焼した校舎の写真も載せている。

 居森さんが残した手記、証言活動を支えた夫公照(ひろてる)さん(84)=横浜市=の著書などを基に、原爆資料館の学芸員が文章や構成を練った。卒業生や地域住民の協力も得た。

 平和資料館は、被爆した鉄筋校舎を保存して1988年に開館した。児童の平和学習の拠点だが、修学旅行生や外国人観光客も訪れている。昨年度から土、日、祝日も開いており昨年度の来館者数は約3万千人。ただ、新型コロナウイルスの影響で当面の間は閉館している。

 岡田由佳校長は「児童が自分の言葉で居森さんの体験や平和への思いを伝えられるようになってほしい。この学校で起こったことを、より深く知る場になると思う」と話している。(新山京子)

(2020年4月20日朝刊掲載)

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