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山口も見直し求める声 阿武町長「人家の近さ変わらぬ」

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を巡り、政府が秋田市の陸上自衛隊新屋演習場への配備を断念したのを受け、もう一つの候補地である萩市と山口県阿武町でも「山口と秋田はセット。同じく断念すべきだ」と見直しを求める声が上がっている。

 新屋演習場は住宅地と近接し、知事や市長、地元住民が強く反対。萩市と阿武町にまたがる候補地の陸自むつみ演習場について花田憲彦町長は「山口も人家に近いのが最大の問題点。新屋と何ら変わらない」と強調。政府が地元の反対を踏まえ秋田で方針転換したことを受け、むつみへの配備反対をあらためて訴えた。

 防衛省はこれまで「山口と秋田への配備が日本全域をミサイルから最も効果的に守れる」と地元に説明。むつみ演習場への配備計画の撤回を求める「住民の会」の森上雅昭代表(67)は「二つの候補地はセットで一方の見直しは計画全体の崩壊を意味する。説明は出発点に戻った」と述べる。

 一方、イージス配備が地域振興につながると説く地元の田中文夫県議は、新たな候補地も秋田県内を中心に検討されるとの見通しを挙げ「国の防衛にイージスが必要なことは変わらない。セットで日本全域を守れる別の候補地を探せばいい」と受け止めた。

 萩市の藤道健二市長は「防衛省から『断念した事実はない』と聞いた。事実でないことに申し上げることはない」と述べるにとどめた。村岡嗣政知事も「国の秋田での調査・検討を注視したい」とコメントを出した。(門脇正樹)

(2020年5月8日朝刊掲載)

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