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平和の祈り 一字一字に 広島市 原爆死没者名簿の記帳

 広島市は5日、原爆死没者名簿の記帳を始めた。昨年8月6日以降に亡くなったか、死亡が新たに確認された被爆者の名前を書き加え、今年の平和記念式典で原爆慰霊碑に納める。

 南区在住の被爆者で元市職員の池亀和子さん(78)と中本信子さん(77)が、市役所の1室で記帳した。市がこの日までに新たに把握した死没者は広島で被爆した2581人。2人は名簿を前に手を合わせて黙とうした後、名前や死亡年月日、年齢を筆で書き込んだ。

 31回目の記帳となる池亀さんは「被爆75年を迎えても核兵器はいまだに廃絶されていない。被爆者の冥福を祈り、一字一字丁寧に書きたい」。20回目の中本さんは、新型コロナウイルスの感染が世界に広がる現状に触れ「みんなが苦しみ、悲しんでいる。命を大事にとの思いを共有しながら記帳していく」と話した。

 原爆死没者名簿は計118冊あり、昨年8月5日までに31万9196人分の名前が載った。名簿のうち1冊は「氏名不詳者多数」と記している。市は8月5日まで記帳を受け付ける。市原爆被害対策部調査課☎082(504)2191=平日のみ。(明知隼二)

(2020年6月6日朝刊掲載)

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