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原爆描いた詩画集贈る 名古屋の現代美術家大津さん 県立図書館に

「平和の願い共有を」

 原爆をテーマにした創作活動を続ける現代美術家の大津定信さん(82)=名古屋市=が、2018年に自費出版した詩画集を県立図書館(広島市中区)に寄贈した。被爆75年の節目に、平和への願いを広島市民と共有したいと願う。

 詩画集はA4判195ページ。被爆地である広島と長崎、太平洋戦争末期に地上戦があった沖縄などを題材に描いた絵画や書約90点に、自らつづった詩を添えて収めている。

 県立美術館(中区)が15年に開催した「戦争と平和展」で紹介された作品2点も掲載。うち「黒い雨」は、中区の爆心地周辺の土をベニヤ板に貼り付けてキャンバスにし、枯れ枝で作った炭を水に溶かして雨や頭骨を描いた。大津さんは「広島の木々や土、水が、原爆のむごさを今に伝える『証人』に見えた」と説明する。

 日展入選歴のある書家でもあり、平和を訴える個展やパフォーマンスを国内外で展開してきた大津さん。01年の米中枢同時テロを機に、市民が無差別に命を奪われた被爆地への関心を深め、たびたび訪れては創作につなげている。

 詩画集はその集大成と位置付け、制作過程を紹介する写真も載せた。全国の公立図書館などに順次、寄贈している。大津さんは「被爆者の無念が忘れられぬよう力を尽くす」と誓う。詩画集に関する問い合わせは大津さん☎090(2615)7700。(奥田美奈子)

(2020年6月19日朝刊掲載)

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