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疎開船の悲劇 沖縄に思い 広島学院高 「慰霊の日」に集い

 沖縄の「慰霊の日」の23日、太平洋戦争中に撃沈された沖縄の学童疎開船「対馬丸」の犠牲者を追悼する集いが、広島市南区の比治山陸軍墓地で営まれた。広島学院高(西区)で沖縄戦について学ぶゼミが、学習の一環で企画。約10人が参列し、戦争の犠牲となった児童たちに思いをはせた。

 集いは、広島の陸軍船舶砲兵部隊の慰霊碑前であった。部隊のうち21人が、護衛のために対馬丸へ同乗して戦死しており、横には対馬丸の学童を悼む銘板がある。同高の2年生7人をはじめとする参列者は、慰霊碑を向いて黙とうをした。

 続いて、学生とともに沖縄戦を調査している広島経済大(安佐南区)の岡本貞雄教授(68)から、対馬丸の事件の説明を聞いた。慰霊碑に花を手向け、詩の朗読や祈りで追悼した。

 同高には特定のテーマで学習するゼミ制度があり、今回の集いは伊藤潤教諭(47)のゼミが企画した。生徒は12月に4泊5日で沖縄を訪れ、戦跡を歩いて回るという。荒本直樹さん(17)=安佐南区=は「沖縄の人たちの気持ちに寄り添えるよう、まずは謙虚に事実を学びたい」と話した。

 対馬丸は1944年8月22日、鹿児島県沖で米潜水艦に撃沈された。判明しているだけで、学童784人を含む1482人が犠牲となった。(明知隼二)

(2020年6月24日朝刊掲載)

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