×

ニュース

鎮魂の被爆ピアノ搬入 平和公園レストハウス 1日再オープン

 19歳で被爆死した河本明子さんが生前愛用し、爆心地から約2・5キロで被爆したピアノが26日、平和記念公園(広島市中区)にある被爆建物のレストハウスに運び込まれた。改修工事を経て7月1日に再オープンするレストハウスで常設展示される。音楽で原爆被害の一端を伝え、平和を訴える新たなシンボルとなる。

 ピアノを運ぶ専門業者が慎重に運搬。テーブルや椅子が並ぶ2階の休憩・喫茶ホールの一角に置いた後、保護材を取って調律をした。再オープン後は「明子さんのピアノ」として常設展示され、コンサートなどで音色を響かせるという。

 ピアノは1945年当時、三滝町(現西区)の河本さん宅にあった。側面には原爆の爆風で刺さったガラス片が残っている。戦後は明子さんの両親が保管しており、2005年に一般社団法人「HOPEプロジェクト」(佐伯区)が譲り受けて修復。その後は演奏会などに活用してきた。

 明子さんは学徒動員中に爆心地から約1キロで被爆し、翌日に自宅で亡くなった。搬入に立ち会ったプロジェクト代表の二口とみゑさん(71)は「被爆建物のレストハウスは、鎮魂と祈りの調べを奏でるピアノの『ついのすみか』として最適だ。娘の死後も大切に保管してきた両親の思いも含めて、明子さんのピアノが持つメッセージを伝えていきたい」と話した。

 レストハウスは改修工事で2018年2月から休館してきたが、今年7月1日に再開する。1階は観光案内や売店、2階は休憩・喫茶ホールに改装。3階と地下1階は、建物や一帯の被爆の歴史を伝える展示室となる。(明知隼二)

(2020年6月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ