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被爆者手帳所持 14万人を下回る 終戦75年 進む高齢化

 被爆者健康手帳を持つ被爆者は3月末時点で13万6682人となり、14万人を割り込んだことが1日、厚生労働省のまとめで分かった。平均年齢は0・66歳上がり過去最高の83・31歳。被爆75年の節目の夏が近づく中、医療・介護の支援拡充が切実な課題となっている。

 厚労省が、広島、長崎両市と各都道府県で管理されている手帳所持者のデータをまとめた。昨年3月末の14万5844人から、この1年で9162人減った。最も多かった1981年3月末の37万2264人と比べ36・7%まで減った。うち国外に住む在外被爆者は2887人。平均年齢は初めて83歳を超えた。

 被爆地の広島市が管理する手帳の所持者は4万4836人(前年同期比2796人減)で平均年齢は82・82歳(同0・66歳上昇)。

 他の広島県管理分は1万6959人(同1434人減)で、平均年齢は85・05歳(同0・53歳上昇)だった。被爆者の減少と高齢化が進む中、「核なき世界」への確かな前進に向け悲惨な体験をどう継承していくかも課題となっている。

 全国で各種手当を受ける被爆者は、一定の病気を対象にした健康管理手当(月額3万4970円)が11万4308人で7533人減。原爆症と認定された人が受ける医療特別手当(同14万2170円)は7023人で246人減った。

 医療特別手当を巡っては、被爆者団体が支給要件を定めた原爆症認定制度の抜本的な見直しを求めており、国の対応が注目される。(河野揚)

(2020年7月2日朝刊掲載)

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