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慰霊込め金工作品2点 広島市立大の若山さん、広島市へ

 広島市立大(安佐南区)の若山裕昭名誉教授(71)=芸術学=が、原爆と平和をテーマにした自身の金工作品2点を広島市に贈った。銅板や真ちゅうの金属を打ち出して作り、被爆75年の節目に寄贈を決めた。市長室とJMSアステールプラザ8階の国際青年会館(中区)で展示されている。

 市長室に飾った「ヒロシマ・フェニックス」は縦173センチ、横103センチ、奥行き10センチ。光線に焼かれた女性の手元からフェニックスが飛び立つ様子を表した。女性は被爆して20代で亡くなった若山さんの伯母がモデルで、戦争で失われた命が安らかな場所へ行けるようにとの願いを込めた。

 国際青年会館に置いた「ヒロシマ『楽園物語』」は、縦163センチ、横123センチ、奥行き10センチ。楽園でフェニックスを待つ天女を表現している。

 いずれも2001年に同大が旧日本銀行広島支店(中区)で催した作品展に出品した。市長室で松井一実市長から感謝状を受け取った若山さんは「遺族として慰霊の気持ちを込めた。作品から平和への訴えを感じてほしい」と願った。(寺本菜摘)

(2020年7月9日朝刊掲載)

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