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3棟 30億円で保存案 被服支廠 厚労相に自民議連提示

 自民党の被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟は9日、広島市南区にある市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の全4棟のうち、県所有の3棟を約30億円かけ保存する案を加藤勝信厚生労働相(岡山5区)に説明した。財源は公費に加え寄付金などを見込み、被爆資料の展示などの活用法を想定している。

 会長の河村建夫元官房長官(山口3区)、代表世話人の寺田稔氏(広島5区)、事務局長の平口洋氏(広島2区)、小島敏文氏(比例中国)が厚労省を訪ね議連の保存案を示した。

 事業費の約30億円は公費やクラウドファンディングで賄い、債務を会計上は自己資本とみなせる「資本性ローン」も活用する。これら資金の受け皿として特定目的会社(SPC)を設立するという。建物の活用策として、写真や遺品などの被爆資料の展示▽NPOや非政府組織(NGO)の活動センター―を挙げる。

 非公開の会談後、河村氏は「広島県が中心になって進めてもらう必要がある」と述べた。今後、議連メンバーが県に保存案を説明する予定でいる。

 被服支廠を巡って県は昨年末、県所有3棟について「2棟解体、1棟の外観保存」の安全対策の原案を示したが、解体に反対する被爆者団体の要望などを受けて今年2月、本年度の着手を見送った。県は1棟当たりの工事費を、耐震化と内部の活用を最大限行う場合は33億円、外観保存だけなら4億円と試算している。

 国所有の1棟の扱いについて、国は県の検討を踏まえて決めるとしている。(河野揚)

(2020年7月10日朝刊掲載)

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