×

ニュース

ヒロシマ 朗読で伝え20年 「音読の会」来月3日に公演 記憶継承へ決意新た

 広島市内の現役・元アナウンサーたちでつくる「ひろしま音読の会」が今秋、結成20周年を迎える。毎年夏を中心に被爆体験記や詩の朗読公演を重ね、「あの日」を伝えてきた。被爆75年の節目に開く今夏の公演に向け、メンバーは「悲惨な記憶を風化させないよう、これからも若い世代と一緒に語り継いでいきたい」と決意を新たにしている。(小林可奈)

 同会は2000年10月に発足し、現在、14人が活動している。被爆者の手記をはじめ、峠三吉や栗原貞子の原爆詩、オリジナル台本などを朗読。原爆投下直後の惨状や被爆者の怒り、悲しみを情感豊かな肉声で表現し、核兵器や戦争のない社会を願うメッセージを発信してきた。広島、呉市の高校の放送部や演劇部と共演し、次世代への継承にも力を入れている。

 今夏の公演は8月3日、JMSアステールプラザ(中区)で開く。演目は、被爆後の廃虚でニュースを広めた少年たちの逸話を基にした井上ひさしの朗読劇「少年口伝隊(くでんたい)一九四五」。「口伝隊」として働き、放射線による急性障害などに襲われながら懸命に生きようとする少年たちの姿を中心に、多くの人の命と生活が奪われた75年前の広島を伝える。

 メンバーは本番に向けて週1回、練習に励んでいる。佐藤千佳砂代表は「原爆や戦争がもたらす惨状を知り、争いが絶えない現代とも重ね合わせてほしい」と来場を呼び掛けている。

 3日の公演は午後3時からと午後6時半からの2回。いずれも定員約50人。前日までに申し込む。入場無料。事務局☎080(4614)4558。

(2020年7月24日朝刊掲載)

年別アーカイブ