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[コロナ禍の8・6] 伝承者 初のネット講話 母の被爆体験 神戸の生徒に 

 原爆資料館(広島市中区)は28日、被爆体験証言を受け継ぐ伝承者による講話を、初めてインターネット経由で開いた。母の竹岡智佐子さん(92)=安佐南区=の伝承者である東野真里子さん(67)=同区=が、パソコンの画面越しに、須磨学園高(神戸市)の3年生約400人に語りかけた。

 新型コロナウイルスの感染拡大に対応した取り組み。ビデオ会議システムを使い、資料館のメモリアルホールと同高をつないだ。

 東野さんは、竹岡さんが己斐町(現西区)の自宅で被爆した後、行方の分からない母親を捜し、川から引き揚げられた遺体を確認したり、救護所を訪ね歩いたりした経緯などを紹介した。「戦争ほど悲惨で残酷なものはない。話し合いを通じて平和を築いてほしい」と訴えた。

 生徒からは「証言する人が少なくなる中、若者に何ができるか」などの質問が出た。東野さんは「今日心に残ったことを一つでも、家族や友達に伝えてほしい」と呼び掛けた。

 同高は1996年から毎年、広島への修学旅行の事前学習として竹岡さんを招いており、昨年からは東野さんが引き継いだ。東野さんは「今年は無理かと思っていた。初めての方法で戸惑いもあったが、話ができて良かった」と語った。(明知隼二)

(2020年7月29日朝刊掲載)

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