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ヒロシマ・ナガサキ ZERO PROJECT

佐野元春さんが参加 詩のワークショップ 29日のヒロシマ・ナガサキ ZERO PROJECT

 日本のロック界を代表するミュージシャンの佐野元春さん(61)が、米国のNPO法人「Ifuture」の提唱で29日に広島市で開幕する「ヒロシマ・ナガサキ ZERO PROJECT」に参加する。地元の学生らを交え、表現の自由などを考える詩をワークショップで創作する。

 広島国際文化財団が協賛・支援するプロジェクトは、アートや核・平和などを巡る議論を通じて2020年まで平和を世界に発信する試み。1946年に広島の惨状をルポした「ヒロシマ」を書いたジャーナリスト、ジョン・ハーシーの孫で、「Ifuture」代表を務めるニューヨーク在住のアーティスト、キャノン・ハーシーさん(40)らが日米の支援者とともに企画した。

 新たに参加が決まった佐野さんは「Ifuture」のハーシーさんらが分断する社会を考えようと4月に米ニューヨークで開いたイベント「NOT YET FREE(まだ自由ではない)」で詩のパフォーマンスをした縁もあり、被爆地のプロジェクトに協力する。1980年のデビュー以降、数々のヒット曲で若者の心をつかんだ佐野さんは近年、アルバム制作やツアーの傍ら、社会のありようを問う詩のワークショップを手掛けている。

 29日はイラストレーター黒田征太郎さんとヒロシマの子どもたちが巨大な平和絵画を完成させる朝のオープニングセッションに続き、「人間」「環境」「仲間」「社会」をテーマにした討論がある。「核兵器なき世界」を呼び掛けた米国の元国防長官ウイリアム・ペリーさん(90)がビデオメッセージと米国からのネット中継で参加し、被爆者や若者たちと対話する予定だ。さらに午後2時からはワークショップに移り、広島市中区小町の寺院、妙慶院などを会場に、キャノン・ハーシーさんが中心となるシルクスクリーンアートのTシャツづくり、映像制作、平和記念公園を舞台にした写真・インスタグラム、音楽・歌、そして佐野さんが参加する「詩・言葉」の5チームに分かれて平和を願う作品を共同制作する。

 佐野さんは妙慶院を会場にした詩・言葉の創作チームのコラボレーターを務め、被爆地にいる思いを踏まえて参加する若者たちと言葉の持つ意味を考え、その場で作った詩を発表し合うという。

 それらのワークショップの模様は、同日午後7時から平和記念公園の元安川親水テラスで開くライブコンサート(参加自由)で映像などで紹介する。ワークショップも一般に公開する。見学希望者は前日の28日正午までに、メールに名前と所属、電話番号を書いてZERO@1future.comへ申し込む。

 また、黒田さんと一緒に29日午前8時15分から袋町小学校で絵を描く「絵話セッション」に参加してくれる小学生も募っている。広島のプロジェクト事務局☎090(3979)3105。1futureのサイトは  http://1future.com/